5000円で楽しむ沼津三島の旅 〜沼津編〜(青春18きっぷ使用)

朝起きたらふと海鮮丼が食べたい気分、そんな時18きっぷ初心者にオススメな場所が沼津、三島エリアです。今回はそのうちの沼津のお話です。

東京圏から行きやすい沼津三島

静岡県の東部に位置し、箱根の山越えを支える東海道の宿場町として発展したのが沼津、三島です。沼津、三島はJRの駅でお隣の位置関係ですがどちらの街もそれぞれ独自の魅力を持った観光にオススメのエリアです。

沼津駅、三島駅は双方JR東海に属する駅ですが、東京駅からは早朝と夕方に沼津駅まで直通する東海道線の普通列車が出ており18きっぷで旅をするには非常に都合の良い場所です。JR東日本の東海道線列車はグリーン車を連結してますので1000円程度追加すると特急のような快適座席で旅が可能です。

東京駅からは2時間少々と18きっぷ初心者でも安心してオススメできる距離になっています。(片道分でほぼ18きっぷ一日分の元が取れます)


それでは実際に東京から沼津へ行ってみましょう。18きっぷの旅というと朝早くから行動しがちですが、本日は沼津まで片道2時間少々、主目的が「海鮮丼を食べたい」なので少し早めのお昼ご飯時間に到着できるよう8時37分東京駅発の熱海行きに乗車します。

今回の旅ではタイトルの通り、5000円で一日旅を満喫しようと思います。交通費、食費等すべて合算して5000円以内を目指します。まずは交通費です、前述のとおり青春18きっぷを利用します。青春18きっぷ1日分は2021年現在2410円です。

東京から小田原くらいまでは街中が続き、日常の延長戦といった雰囲気です。ですが小田原を過ぎると東海道線は海沿いを走って行きます。小田原を過ぎてから熱海までの海沿い区間は東京から神戸まで続く東海道線区間でも屈指の景勝区間となりますので進行方向左側に目を向けることをオススメします。

残念ながら写真をみてわかるとおり本日は曇り模様です。晴天のこの区間は本当に絶景なんですが……
グリーン車の2階席など高い位置からだとより楽しめると思います。

沼津まで直通する列車は一日に数本しかありませんので、概ね熱海駅で乗換が必用になります。ここからはJR東海の管轄になります。この日は写真に写っている緑色のストライプが入った車両、これがまもなく引退とのことで写真に収めている人が大変多かったです。撮り鉄の方以外にも一般人とみられる人々もスマホで写真を撮られていたのでそれだけ愛されていたんだなと思いました。

熱海からは長い、長いトンネルを抜け函南、三島、沼津と止まっていきます。熱海から沼津までは20分ほどで到着します。

沼津の歴史をちょっと感じる沼津港までの散歩

東京から二時間と少々、沼津駅に到着しました。ふと隣のホームを見たのですが屋根を支えてるのは木製の柱でしょうか?だとするとかなり昔から使っている設備なのでしょう。早速、駅のホームから歴史を感じてきます。

さて沼津の名物といえば色々ありますが今回は食、沼津港での海鮮に狙いを定めていきます。

沼津駅から沼津港までは少し距離があります。沼津駅からはバスが出ていますが、現在時刻は11時前。少しお昼ご飯には早いので、歩いて向かいましょう。

沼津駅を出ると駅前に異様にタイヤが多いバス?のような物が止まっています。聞くところによるとこれは電気バス(EVバス)のようで、沼津港までのバス路線に一日6本充当されているようです。

ちょっと気になる……乗ってみたい誘惑に駆られます。が次の沼津港行きバスは電気バスではなく普通のバスのようなので諦めて歩きます。

時代が進めばこういうEVバスが自動運転で走り回る日が来るんでしょうか。

沼津港までの最短ルートは駅を出て真っ直ぐ進むルートですが、駅西側で少し気になる遊歩道を見つけたので駅を出て右に向かいます。

その道中、これもまた気になる駐車場が現れました。少しカーブを描いた珍しい形の駐車場です。この形、このカーブ、こういうのは廃線跡、もしくは暗渠の可能性が大変高いです。ちょっとカーブが強いので暗渠でしょうか?

こういうのを見つけると気になるので地図を確認します。

暗渠が正解のようです。駐車場の部分だけ暗渠になっていてその前後は普通に川のようです。

静岡ではじめて蒸気機関車が走った蛇松線

気になる遊歩道、蛇松緑道に来ました。

Google Mapsでみると遊歩道がゆるやかな曲線を描きながら沼津港方面へと向かっています。

こういうカーブを描いた道路などは先ほどの駐車場のように暗渠か廃線跡の可能性が高いです。今回は距離が長い、東海道線近くから分岐してる、どう見ても人工的な曲線であることを考えると廃線跡の可能性が非常に高いです。というか絶対に廃線跡だと思います、廃線跡じゃなかったら昼御飯抜いても良いです。

予想通り鉄道路線の廃路線跡でした。しかし予想外だったのがこの路線のできた年代です。案内板によると東海道本線建設のための資材運搬路線として誕生と書いています。つまりこの路線は東海道線よりも歴史があるという事になります。調べると静岡県で最初に蒸気機関が走った場所、それがここのようです。

横浜から狩野川河口まで資材を持ってきて、蛇松線で運んで東海道本線を建設したとのこと。たしかに横浜から沼津に至るには伊豆半島と箱根が邪魔しているので船で運んだ方がよかったのでしょう。意外な史跡の発見でした。

参考文献:今は昔 しずおか懐かし鉄道(静新新書)

遊歩道は途中で分岐します。前述の東海道線建設用の狩野川河口方面とは別に、後年建設された沼津港側へ延伸されたようです。そこから魚運搬の貨物列車がでていたとか。魚の歴史も感じながら魚を求めて沼津港方面へ向かいます。

歩いていると線路を見つけました。かなり錆びているの現役当時から放置されているのでしょうか。

線路はそのうち遊歩道と一体化して沼津港の目の前で途切れました。のんびり歩いたので駅から40分ほど掛かりました。時刻は11時40分、美味しいお昼ご飯が食べられそうです。

沼津港

沼津港周辺は多数の飲食店が並んでいるので食べるところには困らなさそうです。

とくに海鮮丼などはこういう場所での一番の売りなので専門店も複数あります。選択肢が多いとそれはそれで悩み、なかなか何処の店に入るか決められず辺りをぐるぐるぐるぐる回ります。

回る……廻る……回転寿司……海鮮丼じゃなくて回転寿司にするか?という考えが思いつきます。個人的に回転寿司は大好きでこういう漁港に来ても良く選ぶ選択肢の1つです。折角漁港まで来たのに回転寿司?という意見もありますが、各地のご当地回転寿司は案外馬鹿にできません。漁港の近くであれば新鮮なネタがいっぱい使われていますし、地元の人をターゲットにしていれば普段は見ない珍しい魚や食べ方が出てきます。よし回転寿司を探そう、そうしよう。

回転寿司を探そうとしたそのとき、ふと一軒の定食屋さんが目に付きました。正確にはそのなかのメニューの「まぐろのカマ塩焼き定食」が気になりました。こういうカマや中落ちなどはこういう漁港近くの定食屋などに行かなければあまり食べる事ができません。よし、今日はまぐろのカマにしよう。

というわけで「あじや」というお店を選びました。

「まぐろのカマ塩焼き定食」をお願いすると焼くのに時間がかかるので暫く待って欲しいと言われます。たしかにまぐろのカマは火通すのに時間がかかりそうです。

15分ほど待っているとずっしりとしたお盆が置かれました。写真ではすこし分かりづらいかもしれませんが、かなり分厚い塩焼きです。「もし焼きがあまい所あったら言ってください。また焼きます!」と言って店員さんは去って行きました。この分厚さだと奥まで焼くのは大変そうです。

普通の三枚おろしの魚であれば箸で骨を一気に取って……という作法がありますが魚の王様、鮪。骨の大きさも尋常ではなく箸だけで骨を取っていくのは筋肉痛になるくらいに疲れます。頑張って格闘し食べましたが開き直ってフライドチキンの要領で手掴みし食べた方が良いかもしれないと思いました。

まぐろのカマ塩焼きという珍しい料理をお腹一杯食べてお値段税込み1225円となりました。

港周辺散歩

お腹も満たされたところで食後の運動として港の周辺を散策します。

港近くの有名観光施設としては沼津港深海水族館沼津港遊覧船沼津港大型展望水門 びゅうおなどがあります。魚を食べたところで魚を見るというのも考えたのですが、水族館は入館料1600円。今回は総予算5000円の旅なので予算オーバーです。

港の入り口近くでは放送でなんども沼津港遊覧船の呼び込みが行われていました。個人的に船は好きなので船にするか!と一瞬思いました。天候はあいにくの曇天。おそらく晴れていれば駿河湾から富士山を望む絶景が見られるんでしょうが今日はまったく期待できません。

というわけでびゅうおの下までやってきました。こちらは見た目のとおり大型の水門なのですが、最上部が展望台になっていてこの辺りでは一番高いところから景色を楽しめます。近くにある千本松原や晴れていれば富士山もよく見えると思います。そう晴れていれば……。こちらも100円と安価ではありますが有料の施設となるので曇天の時にいくのはちょっと……。

なので近くに居た野良猫と戯れます。お値段0円で癒やしが堪能できます。野良なので近寄ることはかないませんが。

猫と戯れていると杉原千畝夫妻の碑がありました。命のビザで有名な杉原千畝の夫人の生まれ故郷がここ沼津のようです。2020年11月に建てられたようなのでつい最近のものです。杉原千畝に関しては映画を見て知ったことくらいしか知識がありませんが、ちょっとした発見ができました。

その碑から海沿いの堤防を歩いていくと何やら高台をみつけました。無料で高いところに登れるのであればいくしかありません。

上まで登ると伊豆半島がよく見えます。富士山もたぶん晴れれば逆側に見えると思います。

さてこの高台ですが作りが新しいので最近できたものかと思います。津波避難タワーの用途でしょうか?その考えると手前のベンチに鍵がついているのも中に非常用用具とかが入っているのかもしれません。東日本大震災以降海沿いにはこのような施設が増えてきているのでいざという時のために場所は覚えておくのが良さそうです。

千本松原

先ほどまでの写真でも写っていましたがこの辺りは千本松原という松林が広がっています。

この松原の延長は10kmにもなり飛行機に乗っていても見える広さです。松原の厚みもかなりあるため千本といわず何十万本も生えていそうな壮大な松林です。

防潮、防風のために植えられた松林なので海岸線に沿って綺麗に湾曲しています。晴れていれば富士山も見えると思うので非常に美しい景色が見られそうです。

葛飾北斎の富嶽三十六景でもこの場所は美しく描かれています。

千本松原は武田と北条の戦で1度伐採されてしまっているようで現在あるものは植え直されたものだそうです。

5年の歳月を掛けて千本植え直されたそうですが、今や数十万本の松林になったというのだからすごいものです。

そんな松林の中を駅に向かって抜けていきます。松林を歩いてるといつも思うのですが枯れた松葉ってとても痛そうですよね。ここで転けると全身松葉で串刺しになりそうな気がしてちょっと歩くのが怖いです。本当に転けたとしても早々刺さることはないと思いますが。

沼津駅


千本松原からてくてく歩き沼津駅まで戻ってきました。跨線橋にあまり見ないタイプの発車案内表がありました。番線だけ表示されて時刻などは出ていません。時間によっては違う番線から出たりする罠があったりするのでしょうか?

跨線橋を降りると到着時に見た木製の柱などが残るホームから次の目的地三島駅へ向かいます。電光掲示板を外して車両を蒸気機関車にでもしたらすぐに明治大正といった雰囲気になりそうな佇まいです。東海道本線でここまで往年の雰囲気を残しているホームも少ないのではないでしょうか。

画像右側には三島行きの電車が止まっていますが、沼津駅と三島駅はお隣同士ながら双方向移動の需要が高く沼津発三島行きという一駅で終点になってしまうような運行も行われています。

そのため日中でも1時間に5本は三島に行く電車が出ていますので、時刻などは気にせず三島へ向かうことができます。

それでは沼津編はこの辺りで筆をおくことにして続きは三島編でお楽しみください。


本記事は2021年3月現在の情報を元に記述されています。