伝統の観光列車「リゾートしらかみ」に乗ってみた

青森と秋田を日本海側を通って結ぶ「リゾートしらかみ」。リピーターも非常に多い観光列車です。果たしてその魅力は何なのか、実際に乗ってみました!

リゾートしらかみとは

リゾートしらかみは青森(一部弘前止まり)から秋田を結ぶ観光列車です。その歴史は古く20年以上運行が続けられています。

昨今増えている観光列車の草分け的存在で、ただ移動するだけではなく車内イベントが開催されたり、ご当地名物の販売は行われたり、ただ乗るだけで観光を楽しめる列車になっています。

青森から秋田間は特急「つがる」が走っており、特急に乗ると約2時間40分で移動可能です。しかし同じ青森〜秋田間を走る「リゾートしらかみ」は5時間以上掛けて走ります。

同じ行き先ですがリゾートしらかみは遠回りをして日本海にそって走る五能線を経由して運行されています。そのため長時間日本海の絶景を楽しむことができます。

一口にリゾートしらかみといっても3種類の列車がありそれぞれ、橅、青池、くまげらと呼ばれています。この3列車はそれぞれ車内の設備が違って最近リニューアルされた橅列車は車内に特産品を販売する専用カウンターなどが備わっています。

乗車方法

リゾートしらかみは全席指定席になっています。特急ではなく快速扱いのため、乗車券に追加して指定席のみで乗車可能です。たった530円の追加でとても快適な旅が始まります。また、乗車券は青春18きっぷ北海道東日本パスといった乗り放題切符が利用可能です。

リゾートしらかみは毎日運行する列車ではなく、決められた日(概ね土休日および冬期以外の平日)に運行されていますので乗車の際は事前に運行されるか確認が必要です。

繁忙期は春から秋にかけてなので冬は比較的空いていて予約は取りやすいです。ですが日本海側を走るので冬の荒波で運休になる事も多く冬に乗車する場合は覚悟が必用です。

乗車記

青森から朝一番に出る、リゾートしらかみ2号秋田行きに乗車します。終点秋田の到着は13時27分なので約5時間20分の旅路です。

リゾートしらかみは2種類の座席があり、特急のような普通の座席と半個室になったボックス席があります。

半個室で扉などはないため、騒いだりはできませんが非常に広い空間を利用出来、また両側の景色を楽しめるのが魅力です。

部屋はかなり広く、6人くらい入れるのではと思えるほどです。4人席ということで発売されていますが、切符の不要な乳幼児を連れての旅行でも快適に過ごせるのではないでしょうか。

窓から見える通り、雪が降っている完全な冬に乗車しています。3月下旬で東京では桜が見頃の時期ですが青森駅は雪の中です。前日まではほぼ雪も溶けていて、「東北といえども3月下旬になれば雪は無くなるんだな」など思っていたのですが朝目覚めるとめっちゃ積もっていました。前述の通り、冬の運航率が悪いリゾートしらかみですが果たして終点まで無事走ってくれるでしょうか。

扉にない半個室はメリットもあり、逆側の景色もとても見やすいです。窓が非常に大きいので左右をあっちを見たり、こっちを見たり忙しい時間が続きます。

暫くしてテンションも落ち着いてきたので事前に買ったお茶を飲もうと思います。青森のお茶といえばブランド米「青天の霹靂」を使ったコメ茶があります。kioskなどで売っているので是非買ってみてください。米のお茶というとあまり見かけませんが、実際呑んでみると確かにお米の味を感じます。最近青森県に来たらいつもこれを買って飲んでいるくらいには好きなお茶です。

途中駅「弘前駅」に着きました。ここまでは特急つがると同じルートで来ていますがここで進行方向を逆転させて五能線に入っていきます。リゾートしらかみはここからが本番です。

この辺りから雪が非常に深くなってきました。外が真っ白になっています。

そしてときどき特徴的な木々が車窓を彩ります。これは恐らく林檎の木でしょうか?青森といえば林檎だと思うので林檎だといいなと思って眺めます。

リゾートしらかみの絶景区間である海沿いに辿り着くまではまだ多少時間があります。この列車では絶景区間に入るまでの間に三味線の生演奏津軽弁での物語朗読会などがあります。車内にイベントスペースがあり見学もできますし、車内放送に音声が流れていますので自分の座席で楽しむこともできます。

列車なのでイベントスペースもそこまで横幅が大きくなく、繁忙期には近くて見たくてもみることが出来ないと思われます。ですが本日は冬の閑散期、20人程度の乗客数だったのでみな集まって楽しめました。

催し物が終わると列車は海沿いを走り始めます。冬の荒れ狂う日本海を堪能します。

ある程度すると人家もなくなり、岩と岩に当たる波飛沫が景色の主体になっていきます。雪も止み少し青空がでてきました。

リゾートしらかみの催し物は続きます、各座席に途中の駅から乗り込んだ地元の方が名物の販売にやってきます。このどら焼きは林檎ジャムを包んであるどら焼きです。さすが青森。

これメチャクチャ美味しかったです。次売店で見かけたらまた買いたいなと思います。

列車に乗っているだけで地元の文化に触れたり、地元の名物を食べたり、絶景を鑑賞できたりするリゾートしらかみですがまだまだイベントがあります。

途中駅の千畳敷駅に付きました。ここで10分程度列車を降りて景勝地である千畳敷を観光できます。

地震で隆起した岩畳がかなり奥の方まで続きます。列車の中で固まってしまった体を解すのによい散歩となります。

散歩の際の注意ですが、岩肌にはこのように海藻がべっとり付いています。あまり波の来ないところでは冬寒さで固まりツルツルになっていたりします。転けないように注意して歩きましょう。

転けました……。はい。ですがリゾートしらかみなら大丈夫、バリアフリー対応の大きなトイレもありますのでそこで持っていたティッシュなどで応急手当ができました!

千畳敷の時刻表です。リゾートしらかみは上下6本ですが、千畳敷に止まるのは4本だけのようです。なので千畳敷の途中下車が必ずあるわけではない事に注意が必要です。

自分の座席に戻ってきました。この半個室席ですが、実は驚きの機能があります。座席にロックレバーがあるのですがこれを引っ張ると

なんとフラットになります!しかも肘掛けもマジックテープ止めなので全部はがして写真のように完全フラット席になります。

対面の座席もフラットにするとかなり巨大なフラットスペースになり、大人二人が横になって寝ても余裕があります。そう、このリゾートしらかみは寝ながら移動できる列車なのです!!

ただ、半個室なので通路から思いっきり丸見えです。マナーを守って座席は使いましょう。

フルフラットにするとお座敷席みたいに乗れるので実家のような安心感があります。リゾートしらかみは片道5時間を超えるのでこのようにゆったりと過ごせる工夫がされているのでしょう。

先ほどのかすかな青空はどこえやら、また雪が降り始めます。崖の上を走るお座敷席から雪と荒波が被る町並みを見つめる。この体験はリゾートしらかみでしかできない体験だと思います。時間があっという間経過していきもう1時間半程度となってきました。

正午になりお腹がすいたのでお昼にします。車内販売がありますので、駅弁を購入しました。(2020年からJR東日本では車内の弁当販売を終了しましたので今ではできません、乗車前に購入しておきましょう)

青森の名物駅弁、本まぐろ御膳がありました。私の大好きな駅弁です。海を見ながら食べる本マグロ、最高です。

本マグロを堪能していたら海岸区間は終わり秋田県に入っていました。バスケで有名な能代工業高校がある町です。一部のリゾートしらかみではここで途中下車して、このバスケットゴールで遊ぶことができるそうです。シュートが入れば粗品が貰えるとか。私はノーコンなので無理そうですが自信のある方是非試して見てください。

もう乗車時間もそれほど長くないので部屋を片付けます。やりたい放題できる部屋ですが、降りる前にはしっかり綺麗に戻しましょう。

青森から5時間が経ち終点の秋田に到着しました。5時間というと新幹線で東京から博多に行けてしまうくらいの時間で乗る前は長くて飽きそうだなと思っていたのですが、あの快適な座席と催し物の数々ですぐ5時間が経ってしまいました。これはリピーターが多いのもうなずけます。

乗ってきた列車は車内清掃ののち30分ほどでまた5時間の旅路につくようです。往復するだけで日が暮れる大変な運用だと思いますが末永く残って欲しいと願います。

まとめ

今回は青森から秋田まで一気に乗車しましたが、リゾートしらかみは運行日であれば3往復も運行されます。五能線はローカル線で普通列車の数が非常に少なく一日6往復程度しかありませんが、リゾートしらかみがあるお陰で停車駅であれば2時間に1本程度の列車がやってきます。

五能線が走っている場所の人口規模を踏まえると非常に本数が多いと感じます。またリゾートしらかみは1回の乗車が530円という安さなので何度も乗り降りするのもいいと思います。

JR東日本は五能線沿線の観光に非常に力をいれていて、このように分厚い観光案内も無料で貰えます。(ドア横に挿してあります)次回乗るときはこの観光案内を参考にぶらり途中下車の旅を楽しもうと思います。